焼成カルシウム (CSR)
殻が豊かな海を育む
漁港に山積みにされた行き場のない貝殻を特殊な工程で焼却した粉末、「焼成カルシウム」。産業廃棄物から生まれた焼成カルシウムが、大幅な減少傾向にある藻場の回復に貢献します。
海の生態系を支える海藻類は、環境破壊による海の酸性化や生態系の変化によって、近年育ちにくくなっていることはご存知でしょうか。
あらゆる海洋生物が生き生きと輝くために、栄養たっぷりの海藻類が生息する場=豊かな藻場は必要不可欠です。その藻場の減少によって、天然のわかめやこんぶが収穫できなくなるだけではなく、藻を餌とする海洋生物は育たなくなり、その海洋生物を餌とする魚類、鳥類、哺乳類にも大きな影響を与えることとなります。
貝殻由来の13種類のミネラルをたっぷり含んだ焼成カルシウムは、藻場に撒くことによって、海の濃度を適正に保つことに寄与します。焼成カルシウムを海に設置するだけで、数ヶ月〜数年という短期間で目覚ましい藻場の回復することが近年の実証実験による明らかになってきました。
しかも、この貝殻というのは、近年厄介な存在として扱われている産業廃棄物です。近年では貝殻の処理に困ることを理由に、水産業者は生産抑制を余儀なくされ、困窮しています。
従来の貝殻の処理方法として、焼却後、洗剤や肥料や建築材料として再利用されているのですが、この方法は燃やすことで二酸化炭素を大量に排出し、地球環境に負荷をかけてしまいます。産業廃棄物を輸送エネルギーや焼却エネルギー含めた高エネルギーで処理し、地球に負荷をかける方法は、持続可能ではありません。
一方で、焼成カルシウムを藻場に撒くことで、藻場が回復すれば、実質ブルーカーボンとして二酸化炭素の吸収に貢献できる可能性があります。持続可能な処理方法を確立することで、生産抑制の必要がなくなれば、海の再生に貢献することだけではなく、水産業者の生産活動にも貢献することができるのです。
厄介な殻が、藻場を復活させ、水産業者を救う。
「目の前」の問題を解決することが、豊かな海を残すことにつながる。
更に「目の前」から、「遠くの未来」に視点を移した時、誰かの感謝は生み出さずとも誰かの当たり前を守ることにきっとなるだろうと我々は考えています。